『人質の朗読会』(小川洋子著)  

人には大切にしている体験がある。
それがその人の生き方を支えている。

語っている人の現在の職業や立場と,なぜその場に居合わせたかなど,最後の語り手の紹介で結びつきました。一人一人が人生の主人公です。

(以下,「週刊ブックレビュー」より)
地球の裏側にある遠い村で起きた人質事件。ツアーに参加し捕らえられた日本人8人全員が命を落とすという結末から2年の歳月が流れます。誰もが事件のことを忘れかけたころ、人質の声を記録した盗聴テープが公開され、ラジオで流れることになります。その内容は、8人が自らについて書いた話を朗読する“人質の朗読会”でした。人質に取られているという極限状態の中で8人が語る自分の人生の大切な一コマ一コマ。それぞれの人生の奥深さに心打たれる連作短編集です。


人質の朗読会

人質の朗読会