現代文学の中の家電製品

職業柄か家電量販店にはよく行く。“上得意様”でもある。家電マニアと呼ばれるお笑い芸人などが登場するTV番組が人気だ。

芥川賞作家の長嶋有氏も,自らの作品を「長嶋家電文学」と称する。同氏が著した『電化製品列伝』を読んだ。

実はこの本は「書評集」なのだ。現代文学の中の電化製品について描かれている場面だけを抜き出して,熱く語っている。時代を写す鏡として,世代間格差を象徴する小道具として,電化製品が描かれている。

家電に興味がなくても,目からウロコが落ちる「人間の営み」を表現した鋭い観察眼がそこにある。

最後に一言,家電を「ホームアプライアンス」とは呼びたくないと思っている。

(「電子材料」2009年5月号編集後記より)