はやぶさの帰還

小惑星探査機「はやぶさ」が地球に帰還したというニュースは,われわれを元気づけた。

小惑星イトカワ」まで,イオンエンジンでの飛行を行い,自律航法で近づき着陸し,サンプル採集を試みた。途中,燃料漏れ,通信途絶,イオンエンジンの寿命など,数々のトラブルに見舞われる。

相互バックアップや自動復旧できるよう設計されていたこと,推進剤ガス放出による姿勢修正などでピンチを切り抜けた。

60億キロの旅を終え,本体は大気圏で燃え尽きたが,それは美しく任務を果たして流れ星となった。われわれに分離されたカプセルを託した。

宇宙開発という科学技術が,勇気と感動と諦めない気持ちを与えてくれた。

(『電子材料』2010年7月号編集後記より)